2017年1月15日日曜日

プライバシー関連の新たな取り組みを発表

Microsoftは米国時間1月10日、プライバシーに関する新しい取り組みを発表した。自分のアクティビティデータを把握、管理できるダッシュボードを提供するほか、「Windows 10」ではプライバシーの新しいセットアップ手段を導入するという。MicrosoftでWindows & Devices担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるTerry Myerson氏が、公式ブログで発表した。
 1つ目の取り組みとなるダッシュボードは、位置情報、検索やブラウジングの履歴、「Cortana Notebook」データなど、ユーザーが自分の活動に関するデータを把握し、管理できるものだ。ウェブベースのサービスで、Microsoftアカウントでサインインする必要がある。
 2つ目として、Windows 10で新しいプライバシー設定手段を導入する。既存の「Express Settings(簡単設定)」に代わるものとなり、使用しているWindowsのバージョン次第で若干異なるという。「Windows 7/8」からアップデートする、あるいはWindows 10を新しくインストールする場合、新しいセットアップではシンプルだが重要な設定が分かりやすく表示され、設定を選択しなければセットアップを進められない。Windows 10をすでに利用している場合は、プライバシー設定を選択するよう通知で促されるようになる。
 診断データレベルについても、これまで全部で3段階(Basic、Full、Enhanced)用意していたレベルを、BasicとFullの2段階に簡素化する。これにあたり、EnhancedのユーザーにはBasicまたはFullに変更できるオプションを「Creators Update」で提供するという。合わせて、Basicではデータ収集の対象を縮小する。これには、Windowsのオペレーションに極めて重要なデータが含まれる。データの用途については、「Windowsとアプリを安全に、最新のものにするため」「デバイスの機能をMicrosoftに知らせている場合は適切な稼働を助けるため」と説明している。このオプションには、Microsoftに返す基本的なエラーレポートも含まれる。
 これらのWindows 10の変更はまず「Windows Insider」で近く導入され、「Windows 10 Creators Update」が入手可能になる際に全ユーザーに向けてロールアウトされるという。
 MicrosoftのWindows 10でのユーザーデータ収集については以前から問題視する声があり、電子フロンティア財団もWindows 10が大量の情報をMicrosoftに送り返しており、ユーザーのプライバシーを軽視しているとしてMicrosoftを非難していた。
 Myerson氏はブログで、「Microsoftは顧客のプライバシーの保護に全力を注いでいる」としている。「信頼は『More Personal Computing』ビジョンの中核をなすもの」と述べ、「Windows 10をこれまでで最も安全なWindowsにしようと取り組んでいる」と約束している。

2017年1月8日日曜日

IoTでダイレクトに生産工程を制御するオープンなインフラへ

ZDNet JapanとTechRepublic Japanが開催した「デジタル変革、IoT、セキュリティ 激動の事業環境を勝ち抜くネットワークインフラの新常識」と題するセミナーでは、対症療法的なアプローチではなく、この先10年を見据えたネットワークインフラを構築するためのヒントを示す講演が行われた。
この中で日本アイ・ビー・エム GTS事業本部のディスティングイッシュト・エンジニア(技術理事)の山下克司氏は、「INDUSTRIAL IoTとオープンなネットワークアーキテクチャー」と題して講演を行った。セミナー終了後にあらためて、従来型ITの世界から変化していく、IoTやインダストリー4.0といったトレンドを包含したこれからのネットワークのあり方と、その実現のポイントを山下氏に伺った。

一部が止まっても全体として動き続けるサービスを実現する新たなアーキテクチャ


日本アイ・ビー・エム
GTS事業本部ディスティングイッシュト・エンジニア(技術理事)
山下克司氏
 山下氏がまず指摘したのは、ITの世界において、大きなアーキテクチャの変化が起こっていることだ。
 エンタープライズのITシステムというと、これまでの教科書ではいわゆる「三層モデル」が示されることが多かった。クライアントPCが負荷分散装置やファイアウォールを介してWEBサーバにつながり、そのバックエンドにはアプリケーションサーバとデータベースがある、というおなじみの構成だ。
 「だがこれらは2000年ごろに作られた古いアーキテクチャで作られたシステムだ。WEBという技術を用いたオープンな仕組みではあるが、データの入出力を処理する目的のためのトランザクションベースで動くものであり、もはや『オープンレガシー』と表現できる」(山下氏)
 このオープンレガシーシステムの最大の課題は、サービスの継続性だ。「設計にしろ運用にしろ、考えなければならない要素が非常に多く、そのすべてが完璧に動いていないとサービスを提供できない。全体を一体化して作ってしまうと、一部が止まった結果、全体が止まってしまう」(山下氏)

 しかし、最近のネットアプリはそんなサービスレベルの低下を許してくれない。サービスの停止がビジネスに直結するからだ。