2016年7月28日木曜日

[計画フェーズの落とし穴]VDIならアプリのことは気にしなくてよい!?(1)

第3回・第4回で「計画の落とし穴」の1つであるサイジングに関する落とし穴について解説した。そこで、今回から3回にわたり、同じく「計画の落とし穴」の1つであるアプリケーションの検討について解説する。
デスクトップやアプリケーションの仮想化を導入する時、必ず検討する必要があるテーマの1つに「既存業務アプリケーションの移行」がある。
設計・構築の局面においては、サーバやストレージ、ネットワークなどのインフラに比べてやや軽視されがちな傾向があるが、実際に端末を利用して業務を行うエンドユーザーにとっては、むしろこちらのほうが本題である。業務アプリケーションのために端末やOS、各種インフラが存在するのであって、逆ではないからだ。
このため、少なくとも企画段階においては、既存(または近々に移行が予定されている)業務アプリケーションが問題なく動作するかどうかが、デスクトップ仮想化の中心的な検討事項となる。
この時しばしば交わされる議論に、ウィンドウズ 10 アップデート 「SBC(Server Based Computing)はアプリの互換性に課題があり、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)ではそれがない。したがって、VDIのほうが、ことアプリに関して言えばスムーズな移行が期待できる」というものがある。
これは一面では正しい。OS部分を共有し、セッション共有という特殊な形でデスクトップやアプリケーションの仮想化を提供するSBCと異なり、VDIは1OSにつき1ユーザーが割り当てられるという点で、既存の物理端末と本質的には同じアプローチである。OSも、サーバOSを用いるSBCに対して、大半の業務アプリが想定しているデスクトップOSであり、その点でも連続性を保ちやすい(OSのバージョンアップを伴う場合は別であるが)。

だが、問題はそう単純ではない。アプリケーションを動作させる上ではさまざまな技術条件が関与しており、実装に伴うわずかなディテールの違いで、今まで動作していたアプリケーションがそれまでとは同じように動作しなくなる。SBCとVDIの違いは、これらの複数の条件の1つでしかない。
企画やセールストークの段階であればともかく、実証検証、設計、構築とプロジェクトが深まっていくにつれて、このディテールが大きな壁となって立ちはだかってくる。そこで、本稿ではアプリケーションの検討に際して、陥りがちな落とし穴について説明しよう。

何を変えて、何を変えないのか

物理PC端末から仮想デスクトップの環境に移行する場合、何も変えずにそのまま移行するという考え方もある。しかし、ITガバナンスの強化や運用の効率化、コストの削減を図るため、仮想デスクトップの導入を機に、アプリケーションに対して影響のある以下の変更が加えられることがほとんどだ。ここでは、それぞれについて検討したい。
  1. SBC or VDI
  2. プール型or専有型
  3. 移動プロファイル or ローカルプロファイル
  4. 標準アプリ or 個別アプリ

(1)SBC or VDI

SBCを採用する場合、VDIと比較してライセンスなどのコスト上のメリットが大きい。しかし、最初に述べた通り、SBCでは以下に挙げるようなタイプのアプリが課題となる。

サーバOSにインストールできないもの

まず、インストーラーがそもそもサーバOSを識別して除外しているアプリケーションがある。入れることができない以上、動作検証も何もなく、ある意味最もわかりやすいNGパターンである。

サーバOSまたはRDSで動作保証がされていないもの

技術的には動作するが、メーカーが動作保証やサポートを提供していないパターンである。内製のアプリケーションでそもそも外部のサポートが必要ない場合や、交渉次第で個別対応してもらえる場合もある(VDIや物理端末で再現する場合はサポートする、など)ので、必ずしも深刻な問題とはならないこともある。
サーバOSのインストールできない、ないし動作保証もされていない場合は、サーバOSをVDIとして単一ユーザーで利用する「サーバVDI」の構成でも利用ができない。サーバVDIはSPLAライセンスの制限により、クライアントOSの利用が認められていないパブリッククラウドでよく利用されるので注意が必要だ。windows10 ダウンロード 版

RDS上での動作に問題を抱えているもの

いわゆるマルチユーザーを想定していない作りのアプリケーションがこれに当たる。一般に、「SBCはVDIよりアプリを動かすのが困難」という場合、このパターンを指す。これにより、1人目のユーザーが使っている分には何ら問題ないが、2人目が入った途端にクラッシュしたり、データが上書きされたりといったことが起こる。
これらは一例ではあるが、確かにVDIでは遭遇しないタイプの「ディテール」である。SBCを採用した場合、適切な回避方法や代替手段を持っていない場合、こうした局面で困難を抱えることになるのは事実であり、過去にRDSなどのSBCを実装、運用していた企業がVDIに乗り換える時は、大なり小なりこうした過去の失敗体験が関係している。
次回は、VDIであってもアプリケーションの動作について確認が必要になる残りの項目について検討する。

2016年7月21日木曜日

「Windows 8.1」シェア増加、「XP」は13%に減少--Net Applications調査

 Microsoftの「Windows 8.1」は、デスクトップPCユーザーの間でシェアを伸ばし続けている。Net Applicationsの調査によると、11月の1カ月間でWindows 8.1は全ウェブトラフィックの12.1%を占め、10月の10.9%から増加した。9月のシェアはわずか6.67%だった。
 これに対し、すでにサポートが終了した「Windows XP」はトラフィックに占めるシェアが減少し続けている。11月のWindows XPのシェアは13.5%となり、10月の17.1%や9月の23.8%から減少した。このペースで行くと、少なくともNet Applicationsのデータによれば、Windows 8.1は2番目にシェアの高いデスクトップOSであるWindows XPを2014年内に上回る可能性がある。
 一方、別のウェブ調査会社StatCounterの最新の統計では、Windows 8.1がすでにWindows XPから第2位の座を奪っている。同社によると、11月はWindows 8.1が10.95%のシェアを獲得し、Windows XPのシェア10.69%をわずかに上回ったという。

 StatCounterの最高経営責任者(CEO)を務めるAodhan Cullen氏は、プレスリリースで次のように述べている。「いくぶん賛否両論があった『Windows 8』の後を受けて登場したWindows 8.1は、リリース以降着実にシェアを伸ばしてきた。8月にWindows 8を上回り、11月にはWindows XPを上回った。Windows 8.1の成長軌道は力強いものだが、現在の傾向が続くとしても、2015年の『Windows 10』リリースまでに『Windows 7』を上回ることはないだろう」
 Microsoftはすでに「Windows 10 Technical Preview」で、今後リリース予定の内容を一部披露している。9月末に発表されたこのプレビュー版では、「Start」メニューの復活、新しいトラックパッドジェスチャ、サイズ変更可能なウィンドウで「Metro」アプリを実行できる機能に対応しており、デスクトップでの使いやすさを一段と向上させたOSであることが明らかになっている。
 Microsoftは2015年初め、早ければ1月にも、Windows 10の一般ユーザー向けプレビューを発表すると見られている。
 Net Applicationsが公開したWindows 8.1とWindows 8のデータを合計すると、このMicrosoftの最新OSはWindows XPに大きな差をつけて第2位になる。まだWindows 8を使っているユーザーは、11月に記録されたトラフィックの6.5%を占めていた。つまり、Windows 8.1とWindows 8を合計したシェアは18.6%となり、Windows XPの13.5%を数ポイント上回る。

2016年7月14日木曜日

Windows 10 ビルド10240時はアプリケーションの設定のみ抑止されていた「保存場所」だが、ようやくアプリケーションの保存先が選択できるようになったもメジャーアップデートが備える特徴の1つだ。「設定」の「システム\ストレージ」で設定を変更すると、別ドライブに対応するフォルダーが自動生成される。
まずユーザー名を持つフォルダーは、「保存場所」で選択したドキュメント/音楽/画像/ビデオ用サブフォルダーが作られるものの、既存ファイルは移動しない。そのため、タブレットなどメインストレージが乏しくSDカードなどで容量不足を補っている環境の場合、手動でファイルを移動した方がよい。
また「WindowsApps」フォルダーは文字どおりユニバーサルWindowsアプリのバイナリを格納するフォルダーである。こちらを直接参照する機会は少ないため説明は割愛するが、興味深いのは「WPSystem」フォルダーだ。サブフォルダーを開いてくと、セキュリティ識別子\AppData\Local……と%LOCALAPPDATA%フォルダーの一部を確認している。
察するところ、設定変更後にユニバーサルWindowsアプリをインストールした場合、そのアプリケーションが必要とするデータは、既存のドライブではなく保存先ドライブに格納する仕組みなのだろう。
ビルド10240でも「オフラインマップ」は保存先ドライブの変更をサポートしていたが、今回改めて確認したところ、保存先ドライブに「MapData」フォルダーを生成して、地図データを格納するようになった。もっともWindows 10の地図機能は前節でも述べたように、日本に関しては相変わらず使い物にならないため、早期のデータ刷新を期待したい。

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さて、ここからは節立てする方ではないものの、変化が顕著なポイントを取り上げていく。まず地味ながらも個人的に気に入っているのが環境変数Pathの編集機能である。既定設定であるシステム環境変数Pathを開くと、セミコロンで区切った文字列を1行単位で編集可能になるというものだ。
プリンターの動作に関しても変更が加わり、「デバイス\プリンターとスキャナー」に<有効にすると、最後に使ったプリンターが通常使うプリンターになります>という項目が加わった。従来のWindowsと同じく"既定のプリンター"を固定する場合はオフにしておくとよい。
「デバイス\USB」にも<USBデバイスへの接続に問題がある場合に通知する>が新たに加わった。こちらはビルド10547で実装した機能だが、今のところUSBデバイスにまつわる通知を目にしたことがない。おそらくだがUSBデバイス用ドライバーの未検出やデバイスドライバーがエラーを返した場合、あとは以前のWindowsでもあった「高速ではないUSBハブに接続されています」といった類のメッセージを通知するのではないだろうか。
目に付かない部分ではメモリー管理方法の変更も新機能の1つとなる。プロセスごとに存在する未使用ページを圧縮することで、空き領域を確保する仕組みを供え、Aul氏は「圧縮ストア(Compression Store)と呼ばれる新しい概念を追加した」と説明している。つまりベージコレクターをシステムレベルで組み込んだと考えると分かりやすいが、物理メモリーの追加が難しいタブレットや2-in-1 PCでの利用環境が改善すると捉えて間違いなさそうだ。
また、メジャーアップデート適用後のISOイメージファイルから、Windows 10を新規インストールする場合、Windows 7/8.xのプロダクトキーが使用可能になっている。これまではWindows 7/8.xをクリーンインストールし、その上でWindows 10にアップグレードしなければならなかったが、新規インストールを頻繁に行うユーザーには至極便利になるはずだ。
ただし、Windows 7/8.xからWindows 10への無償アップグレードは、あくまでも無償アップグレードから1年感に限定されている。Microsoftが猶予期間を設けない場合、2016年7月29日以降は本プロセスを使用できないと、自社のコミュニティサイトでFAQを公開している。なお、その際のライセンス認証方法は「デジタル付与権利」となる仕組みだ。違いに関してはこちらをご覧頂きたい。
現在、旧Windowsユーザーを対象に「Windows 10を入手する」(Get Windows 10、通称「GWX」)の配信を行っており、無償アップグレードの対象ユーザーはこのGWXを通じてWindows 10へのアップグレードが可能だ。このGWXは提供開始当初こそ「Windows 10のメリット」を伝える宣伝ポップアップ的な存在に留まっていたものの、後に「同日中でのアップグレード」を迫るようになり、最新のものでは特定の手順に沿ってキャンセル操作を行わない限り「アップグレードが自動予約されて指定時間にインストールが開始される」ようになってしまっている。これが「朝出社してPCを起動したらWindows 10になっていた」というインターネット上で出回る噂の原因だ。また、街の電光掲示板やKIOSK端末の操作画面にGWXのポップアップが表示されてしまう現象も多数報告されており、強引なアップグレード手法にMicrosoftへの批判が高まる理由となっている。
ただ、このGWXに関する話題には2点ほど誤解がある。まず、ユーザーの完全な同意なしに環境が完全にWindows 10にアップグレードされることはないという点、そしてビジネス用途で利用するユーザーにはGWXを通知を無効化する方法が用意されており、そもそも適切な運用がなされていれば一連の問題は避けることが可能だ。
前者については、Windows 10のアップグレードに際して、まず最初に「ソフトウェアライセンス条項(EULA)」に同意する必要があり、この手順を踏んでからでないとアップグレードは行われない。一見するとすでにWindows 10になっているように見えるが、実際にはWindows 10のインストーラが起動した直後のような状態だ。Microsoftは最初にEULAの同意を得ることに非常にこだわっているが、おそらくその理由は訴訟対策にあると考える。そのため、Windows 10にアップグレードされたユーザーは何らかの操作を経てこのEULAに同意していることになる。
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後者は、(Active Directory)ドメイン内で適切に管理されているWindows 7/8.1ではGWXの通知を無効化できるため、もし前述の自動予約を経てWindows 10のインストールが勝手に始まってしまうというのであれば、ネットワーク管理が適切ではないということになる。Microsoftは2016年以降にGWXの運用ルールを変更し、これまでドメインに参加していればGWX通知の対象外だったWindows 7 Pro/8.1 Proの2製品についても、無償アップグレード対象としてGWXが有効化されるようになっている。これを防ぐには、MicrosoftがKB3080351で説明している手順でレジストリを書き換えてGWX通知を無効化するか、あるいはWSUS(Windows Server Update Services)などを使ってユーザーのPCが直接Windows Updateを参照しないようにすればいい。なお、企業向けのEnterprise版や組み込み向けのEmbedded版WindowsはGWXの対象外となるため、そもそも通知アイコンが表示されない。よく電光掲示板やKIOSK画面にGWX通知が表示
 「Windows 10」への無償アップグレード期間が7月29日をもって終了する。Microsoftは、その日に向けた最終段階において「Get Windows 10」(GWX)プログラムを改訂し、通知画面を変更した。「Windows 7」や「Windows 8.1」を稼働させているユーザーは、あと3週間と少しで終了する無償アップグレード期間中に、全画面での通知を含む、Microsoftからの「最後のひと押し」を目にすることになるはずだ。
 詳細については、「Windows 8.1 and Windows 7 SP1 end of free upgrade offer notification」(Windows 8.1および「Windows 7 SP1」における無償アップグレード期間終了の通知)と題された同社のサポート技術情報ページで確認できる。このページには、通知画面のスクリーンショットとともに、該当画面をそれ以降表示させないようにするための情報も記載されている。


 このスクリーンショットの左下隅には、注目に値する2つのリンクがある。このリンクをクリックすることで、今までのように単に画面を閉じるのではなく、「あと3回通知する」か、もはや決意が揺らぐことはないため「今後、この通知を表示しない」のかを選択できるようになっている。
 「今後、この通知を表示しない」を選択した場合、アップグレードの通知は一切行われないようになる。
 なお、最新のGWXアプリがインストールされている場合や、以前にレジストリを変更し、Windows 10へのアップグレード通知を抑止している場合、この通知が表示されることはない。
 また、過去にWindows 10をアンインストールしている場合や、インストール時に問題が発生して元の状態にロールバックされている場合、使用しているPCがWindows 10に対応していないと判断された場合にも通知は表示されない。
 Microsoftは「Windows 10」を、更新プログラムの定期配信と新機能の随時配信が特徴の「サービス」として提供したいと考えている。
アクティブ時間の設定画面 Microsoftの主張どおり、Windows 10はある意味ではサービスである。しかし、複雑に錯綜する膨大なコードの集合体であり、暗黙的な後方互換性が確保されているという点において、以前のWindowsと実質的には同じものだ。Windows 10のセールスポイントである「新機能の随時配信」は、より高い頻度で新機能が追加されるという意味である。これは毎月配信される従来の累積的な品質更新プログラムと区別するため、「機能アップデート」と呼ばれている。
 Windows 10は7月29日にリリース1周年を迎える。その4日後にあたる8月2日、Windows 10を実行中の3億5000万台に及ぶPCに対し、大規模な機能アップデート「Anniversary Update」の配信が開始される予定だ。




 Anniversary Update(正式なバージョンは「1607」)では、従来のサービスパックが色あせるほどの大規模な改善が行われる。そんなAnniversary Updateの新機能を、最新のプレビュー版に基づいて紹介しよう。

アップデートの労力




 「Windows as a Service(サービスとしてのWindows)」であるWindows 10の不満点は、大規模な機能アップデートのインストールを頻繁に強いられることだ。筆者はこの数週間にわたり、Windows Insider Programで提供される最新のプレビュー版を、新旧入り交じる十数台のPCにインストールした。比較的新しいCPUとSSDを搭載した最近のPCでは、アップデート自体の所要時間は20分から25分程度だった(これにはダウンロードに要する時間は含めていない)。

 バージョン1607では月例の累積的な更新プログラムの扱いが大きく変更される。自動更新を延期する機能は、このバージョンでも提供されない(「Windows Update for Business」のポリシー設定を使用する場合を除く)。だが、1日の中でPCを使用している時間を、「アクティブ時間」として最大12時間まで設定できるようになる。


 アクティブ時間に設定した時間帯はWindows 10の自動更新が無効化され、作業を中断される煩わしさから解放される(少なくとも理論的には)。ダウンロードが完了した未インストールの更新プログラムがある場合は、インストールする時刻を手動で設定できる。

「Office 2016」で何が変わった?--生産性を上げる10の特長

 Microsoftが「Office 2016」を9月22日にリリースした。一見しただけでは、「Office 2013」との大きな違いは分からないかもしれない。しかし、詳しく見ていくと、生産性向上に役立つ興味深い新機能が見えてくる。
 クラウドコンピューティングから得られる恩恵が取り沙汰され始めてからかなりの時間が経つが、Office 2016はその恩恵を実現することを目指した製品だ。Office 2016はクラウドベースの、モバイルでも利用できるOfficeに期待されるものを実現すべく設計されている。Office 2016が本当によいものかを判断するには、もう少し待つ必要があるが、これまでのレビューでは好評を得ているようだ。
 この記事では、Officeソフトの決定版としてMicrosoftが世に出したOffice 2016が提供する、10の新機能や特長を紹介する。

1.リアルタイム共同編集

共同編集機能は多くのOfficeソフトでかなり前から取り入れられていたが、Office 2016ではそれをリアルタイムで行えるようになっている。これは、共同作業をしている相手が、「Word」の文書や「PowerPoint」のプレゼンテーションで、何をしているかが見えるということだ。そして逆に、自分のやっていることも相手に見える。この機能は、どこからでも、どのデバイスからでも使うことができる。

2.OneNoteのノートブック共有

「OneNote」はMicrosoft Officeの中でも特に便利なアプリケーションの1つだが、評価されていないアプリでもある。Office 2016では、OneNoteのノートブックを、好きなだけ多くの相手と共有できるようになった。OneNoteはテキスト、画像、ワークシート、電子メールを含む、およそ思いつくあらゆる種類の文書を扱えるため、同じプロジェクトに取り組んでいるチームでリソースを共有するには便利だ。もちろん、メンバーがOneNoteを知っていればのことだが。

3.Outlookの低優先メール機能

ほとんどの人は、毎日山のように電子メールを受け取っているはずだ。Outlookの受信トレイを調べて、電子メールを処理する優先順位を付ける作業を手動で行うのは、時間もかかる作業であり、生産性も下がってしまう。Office 2016では、受信トレイの機能に「低優先メール」と呼ばれる新たなカテゴリーが追加されている。これは、特定の電子メールを低優先メールに指定すると、それに類似したメールは、今後自動的にOutlookの低優先メールフォルダに振り分けられるようにになるというものだ。つまり、電子メールには重要、低優先、迷惑メール、削除の4つのカテゴリーができたことになる。

2016年7月12日火曜日

企業内プライベートWindowsストア活用のすすめ

 連載5回目となる今回は、アプリケーション配信基盤「ビジネス向けWindowsストア」の後編として、実際に簡単なユニバーサルWindowsアプリを作成し、ストアへの公開や企業内プライベートストアに登録するまでのプロセスを紹介する。

企業内アプリとビジネス向けWindowsストア

前回の「企業内プライベートWindowsストア活用のすすめ(前編)」では、パブリックなWindowsストアに公開されているアプリの中からいくつかビジネス向けWindowsストアに登録し、企業内のプライベートストアを構築する手順を解説した。いわば「アプリのセレクトショップ」を企業内に開設できることがお分かりいただけただろう。

 では、企業の内製アプリやパブリックなWindowsストアで非公開(プライベート配信)のアプリの場合はどのようにして配布するのかというと、それもビジネス向けWindowsストアからできるようになっている。もちろん、Windows 8/8.1時代と同じく、Windows 10でもアプリをサイドローディング(ストアを介さずに直接配布)することも可能だが、ビジネス向けWindowsストアを配布基盤に使うことで、よりセキュアで安全に展開できる。
 今回は、ビジネス向けWindowsストアに特定の企業向けのLOB(基幹業務)を登録し、プライベート配信するシナリオを想定して解説する。

ビジネス向けWindowsストア利用の流れとメリット

LOBアプリをビジネス向けWindowsストアで配布するまでの大まかな流れは次の通り。
  • アプリ開発者がWindowsストアに「特定の企業向け」としてアプリを登録する。
  • 登録が完了したアプリを、ビジネス向けWindowsストアの管理者が在庫として登録する
  • 各ユーザーが端末にアプリを導入する

 アプリをWindowsストアから配布することには、サイドローディングで配布することと比べて、いくつかのメリットがある。
  • セキュアである。後述するが、アプリをストアに申請した際にセキュリティテストが実施される。このためWindowsストアから導入したアプリは安全が保障される
  • 配布そのものが簡単。ストアからセルフサービスでアプリをインストールできるため、サイドローディングに比べて配布する側の手間が少ない
  • アプリを自動更新できる。アプリの更新版が登録された際に、各端末のアプリを自動的に更新する機能を備える

 ビジネス向けWindowsストアからLOBアプリをプライベート配信するためには、アプリ登録時に「特定の企業向け」とするだけであり、ストアに登録するプロセス自体は公開アプリと同じである。このため、パブリックなWindowsストアで公開されるアプリと同様に、LOBアプリであっても上記のメリットを受けることができるのだ。
 次に、具体的にLOBアプリをビジネス向けWindowsストアに登録する手順を見ていこう。

2016年7月8日金曜日

MS、「Windows 10 Pro」でWindowsストアへのアクセスを制限する管理機能を停止

 管理者が「Windows 10 Pro」ユーザーに対し、Windowsストアへのアクセスをブロックするという設定ができなくなった。
 1カ月前までは、管理者がグループポリシーを活用し、Windows 10 Proを利用している従業員がWindowsストアにアクセスできないよう設定することが可能だった。一部の企業ではこうしたアクセス制限が必要なのだ。
 それがMicrosoftは、4月にこのオプションを変更した。同社では、Windows 10の全バージョンでWindowsストアにアクセスできるようにすべきだと主張している。ただし、(@SwiftonSecurityが指摘したところによると)Enterprise版とEducation版では意図的にそうなっていない。
 もし従業員(または学生)がEnterprise版やEducation版を利用している場合、管理者は今でも「AppLocker」やグループポリシーを利用してWindowsストアへのアクセスをブロックできる。
 Microsoftの広報は、この変更があったことを認めており、Windowsストアへのアクセスを遮断する必要のある企業はWindows 10 Enterprise版を使用するようにとしている。公式コメントは以下の通りである。
Microsoftでは、企業の自社環境管理の支援に注力すると同時に、ユーザーが仕事や生活で利用するアプリとデバイスに選択肢を提供したいと考えている。Windows 10 Enterpriseには、IT管理者が企業内のデバイスを最も詳細に管理できる機能が備わっている。Windows 10 Proではその一部の機能を提供しており、大企業のIT管理者に向けたフル機能は必要ないものの多少は管理したいと考える中小企業に最適だ。Windowsストアへのアクセスをブロックする機能は、企業で所有するデバイスの管理を強化したい企業に向けたもので、Windows 10 Enterpriseにて提供される機能だ。
 Windowsストアに関する管理機能は、MicrosoftがWindows 10 1511(2015年11月のアップデート)を新Current Branch for Business(CBB)としてリリースすると公表した際に制限された。
 可視性を高めることとWindowsストアの利用を促進することが、MicrosoftにとってのWindows 10の目標の1つとなっている。

2016年7月4日月曜日

「Windows 10」無償アップグレードの通知、一部で全画面表示に

「Windows 10」への無償アップグレード期間が7月29日をもって終了する。Microsoftは、その日に向けた最終段階において「Get Windows 10」(GWX)プログラムを改訂し、通知画面を変更した。「Windows 7」や「Windows 8.1」を稼働させているユーザーは、あと3週間と少しで終了する無償アップグレード期間中に、全画面での通知を含む、Microsoftからの「最後のひと押し」を目にすることになるはずだ。
詳細については、「Windows 8.1 and Windows 7 SP1 end of free upgrade offer notification」(Windows 8.1および「Windows 7 SP1」における無償アップグレード期間終了の通知)と題された同社のサポート技術情報ページで確認できる。このページには、通知画面のスクリーンショットとともに、該当画面をそれ以降表示させないようにするための情報も記載されている。

 このスクリーンショットの左下隅には、注目に値する2つのリンクがある。このリンクをクリックすることで、今までのように単に画面を閉じるのではなく、「あと3回通知する」か、もはや決意が揺らぐことはないため「今後、この通知を表示しない」のかを選択できるようになっている。
 「今後、この通知を表示しない」を選択した場合、アップグレードの通知は一切行われないようになる。
 なお、最新のGWXアプリがインストールされている場合や、以前にレジストリを変更し、Windows 10へのアップグレード通知を抑止している場合、この通知が表示されることはない。
 また、過去にWindows 10をアンインストールしている場合や、インストール時に問題が発生して元の状態にロールバックされている場合、使用しているPCがWindows 10に対応していないと判断された場合にも通知は表示されない。